「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 平成26年(2014)11月3日(月曜日。明治節)通巻第4380号
(読者の声1)「北朝鮮拉致問題の解決方針について」
この問題は人質解放問題と国交問題を分けて考えることが必要と思う。人質は身代金を払って買い戻すしかない。どんなに不当な行為でも確信犯には「べき論」は通じない。
北朝鮮との国交は当然日本が被害再発を防げる国防力の整備ができてからになる。両者を混同してはならないだろう。
身代金方式では一人いくらとすると、相手は多く返すほど利益が上がる。一括方式だと当然少なくなるだろう。味を占めてまた人質を使う。
国交というが、相手は日本を敵視するテロ国家であるから、外交関係を開設すれば旧ソ連のように工作員が外交官として入国してくる。外交官特権で通関はフリーパスだから何でも持ち込める。そこで小型核爆弾を分割して持ち込み都内の治外法権の公館内で組み立てることが考えられる。これで日本は簡単に息の根を止められる。
そこで日本の国防体制は、最低北朝鮮と同等の威力のある軍備が必要となる。それは当然核自衛である。高価なF35などの通常兵器をいくら買い込んでも異次元の核ミサイルの威力の前にはまったく太刀打ちできない。
日米安保も核武装国家の対日攻撃防止には役に立たない。
米国は自国が核被害を受けてまで日本を守ることはできないからだ。事実、安保体制下で北朝鮮の大量の日本人誘拐が行われている。彼らは日本は鶏小屋同然であり日本人はいくらでも誘拐できると豪語している。米軍は番犬にならないのだ。
「日本人が自分のことは自分でしか守ることはできない、と気づくには相当の時間がかかるだろう」といったのは、戦後首相にもなった池田勇人である。
これは彼が1953年10月米国のロバートソン国務次官補との会談で米国の日本自衛の要請を断った時の言葉である。その再軍備拒否の理由は以下のとおりであった。
1.召集対象の日本青年はGHQの教育で、何が起ころうと二度と銃を持たないように教え込まれているから反対する。
2.婦人は大切な人を捧げたのに戦後大迫害を受けたので、絶対に反対する。
3.それでも徴兵するとGHQが共産主義を放任してきたので兵士が共産主義武装蜂起を起こす可能性がある。
4.占領憲法が軍事召集を否定している。
米国は再軍備提案をひっこめるしかなかった。この裏には、日本側の計算として朝鮮戦争への国連軍名目による新日本軍動員を予防することがあったという。
また吉田茂は戦前の失敗から二度と大陸の紛争に関係してはならないと考えていた。この直後、ニクソン副大統領が来日し日米協会の昼食会で占領中の憲法九条は誤りであったと公式に声明を出したが、そのままとなって今日に至る。
日本は独立後警察予備隊を作ってごまかし、それが現在の自衛隊となっている。しかし自衛隊は名前の通り軍隊ではないから、軍隊としての法律がなく戦闘はできない。張りぼての飾りである。これは北朝鮮の方がよく知っている。
日本政府も日本国民も国防を自分のこととして真面目に考えてこなかった。それが北朝鮮の攻撃で大きな被害と悲劇を生んでいる。
日本の核自衛は米国に通告して行えばよい。国内の憲法解釈などどうにでもなる。
非常事態なので、憲法を停止することもできる。反対するものがいたら横田恵さんらを直ちに取り戻すように要求すればよい。神聖な日本人の国家と国民防衛に無責任な妨害は許されない。 (東海子)