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1008(寛弘5)年に紫式部が『源氏物語』を書いていたという
史料があるということで、それから1000年後に当たる2008年に、
「源氏物語ミレニアム記念事業」を考えている人たちがいる。
大いに結構なことである。
1991年にウイ−ンで開かれた第56回国際ペン大会で、私は紫式
部と『源氏物語』についてスピーチをしたが、世界中から集まった
著述家たちの中には式部を「ホメロスに次ぐ偉大な作家」と絶賛し
たり、自国でどれだけ翻訳が進んでいるか、誇らしげに語る人が相
次ぎ、この千年前の日本の女性作家の偉業を改めて知らされた。
私が纏め役を務めて開いた「世界女性文化会議・京都2001」での
タチアナ・ソコロヴァ・デリュ−シナさん(『源氏物語』のロシア
語訳者)の基調報告でも、式部の偉業が世界の女性の誇りであると
共に、10世紀から11世紀に掛けての最古・最長の最高傑作といえる
作品であると、海外から高い評価を受けていることは明らかだった
(日本ジェンダー学会編「千年の願い千年の誓い−世界女性文化会
議・京都2001報告書」参照)。
人間普遍のテーマを扱った文学、国境を超える。「紫式部とその
時代」をグローバルに、比較文明論の視点から論じ合い、ジェンダー
の今を問う会議を、日本ジェンダー学会でも改めて用意することに
なろう。それにしても、紫式部・清少納言・和泉式部らの女性によ
る卓越した文学の創造と、それを賞賛した日本の男たちという図式
は、何と素晴らしいことか。
ここで、現代人が決意すべきは、千年前の彼等を顕彰するばかり
ではなく、今、彼等を超える新しい文学を、多様な文化を創造する
ことである。たまたま昨年、私と仲間たちは文化庁の「文化・芸術
による創造のまち」支援事業の一つとして、京都で学生・市民や若
手アーチストの力を引き出すドラマの制作と上演、その記録の映像
作品のイタリア語訳を完了し、ローマ大学で開催したの国際会議で
上映した。京都の産学協同の楽しい仕事であった。
今年は、同志社大学が学外からの企画を取りいれ、学生の積極的
参画で進める斬新な「プロジェクト教科」を発足させた。文化庁の
支援事業を進めてきた「京都文化創生実行委員会」の仲間をゲスト
に、教科担当は冨士谷あつ子、学内の教科代表は岡本民夫教授とい
う陣容で、予想以上の学生の志望登録があった。
「京都創生」というが、目的語は何か。それは第一に「文化創造」
でなければならない。それを、次代を引き継ぐ若者が挑戦する。
青春を京都で生き、これを創った!と言える足跡を残し、さらなる
飛躍をして欲しい。そんな願いから「私が創る京都ー学生による文
化イベントの企画・運営」というプロジェクト教科である。
私自身も、もちろん、評論と創作執筆に取り組もう。だが何より
学生さんたちが何を生み出すか。4月14日(金)からのスタートが
楽しみである。
http://6614.teacup.com/atsukofujitani/bbs
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